てんてんと

へなちょこアラサー既婚女の世迷いごと

今年のお気に入り本10冊

俵万智訳 みだれ髪/河出書房新社/俵万智 与謝野晶子



言わずと知れた与謝野晶子の『みだれ髪』を俵万智が短歌で超訳!という、短歌一首を二倍楽しめる一冊。
昔「やは肌の〜」って短歌を引用したテレビCMがあったなぁなんてことを不意に思い出して、ちょっと与謝野晶子の作品読んでみたいなと思って買いました。中村佑介さんの表紙も良いですよね…。
恋愛のなかにある色とりどりの感情を三十一文字で鮮やかに掘り起こす短歌たち。この本を読んで自分でも短歌を詠み始めました(最近はあんまり…ですが)。
お気に入りのうちの一つを引用すると

「ふしませと その間さがりし 春の宵 衣桁にかけし 御袖かつぎぬ」

訳「おやすみを 言って別れた 春の宵 あなたのシャツに 顔を埋める」

 

わかる〜!め〜っちゃわかる〜!とキュンキュンせずにいられない。めくるたびに悲鳴が出たり下唇を噛み締めたりしながら味わった一冊でした。

 

水族館人/文化工房/SAKANA BOOKS(編)

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水族館をつくる人、支える人、守る人、楽しむ人…そんな水族館人たちの語る水族館のお話。
じんわりほっこりする話もプロフェッショナル魂を感じる熱い話も、読んだら水族館に行きたくなる。もっと知りたくなる。もっと近づきたくなる。そんな一冊でした。
                                                                                                                                                                                 

 

she is beautiful/集英社/凸ノ 高秀 (著), 江坂 純 (原作)

唯一の漫画作品です。去年から連載が始まり、もうすぐ完結しそうなのです…!

 

あらすじ

少女たちが育てられる謎の施設・箱庭。そこで暮らす少女・くるみは10歳の誕生日前夜に眠りにつくと、目覚めた時には14年もの月日が流れていた。知らない場所、成長した友人、失った記憶を巡る数奇な旅が幕を開ける。

 

序盤は謎だらけでどうなるのかさっぱり先が読めなかったのですが、少しずつ謎が明らかになり、そのたびに登場人物の想いや機微に考えを巡らせてドキドキしたり切なくなったりしています。カテゴリーはミステリーなのだろうけど、そこに生きる人間がいる。​完結まで楽しみに読んでる作品です。

 
今3巻分が無料で読めるようなので良ければ↓

 

食いしん坊のお悩み相談/リトルモア/稲田俊輔

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作者は南インド料理店「エリックサウス」の総料理長であり飲食店プロデューサーの稲田俊輔さん。
食いしん坊のみなさんから寄せられた質問、疑問、お悩みについて稲田さんが答えてくれる…という形式の本なのですが、これが面白いのです。
共感できる「あるある」な問いも、そんなこと考えたことなかったな…という問いまで、稲田さんは否定せず(かといって無理な肯定もせず)に分析して考えてくれます。目からウロコが落ち、くすりと笑える一冊です。

 

幽霊屋敷の文化史/講談社/加藤耕一



図書館でタイトルに惹かれて借りて読んで、その後メルカリで見つけたので購入。2016年発売の新書なので今はあまり出回ってないようで…。
「恐怖」を娯楽としてきた文化はどう生まれどういう歴史をたどってきたのか?ディズニーランドのホーンテッドマンションを始点にして語られます。

「恐怖」と同時に「幻想的な雰囲気」「ロマンチック」「退廃美」を味わい楽しむことを、私たちは幾年も重ねてきたのだと面白く感じた一冊です。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                          

日本の呪い/光文社/小松和彦

今年最初にポチった本はこれでした。去年から民俗学に興味を持ち始めて(これも怪談がきっかけだったように思います)いろいろ読んでいますがやっぱりこれは読みやすくて面白い。「呪い」というテーマではありますがめちゃくちゃのめり込んで読めて、ぐんぐん好奇心が満たされる。私にとっては本を読む楽しさを体で感じられる一冊でした。

 

怪を訊く日々 怪談随筆集/筑摩書房/福澤徹三

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怪談を聞くのが普段から好きなんですが、明確なオチがない話とか整合性がない話が特に好きです。だって人間の世界の狭さを教えてくれる気がするから。
この本は聞き集めた怪談を淡々と書き綴ったものです。だからこそ不思議で、理解しがたくて、好きなのです。

 

狸の話/有峰書店/宮沢光顕



『アラマタヒロシの妖怪にされちゃったモノ辞典』という本を読んで「狸っておもしろいかも…」と思って狸のことを知りたくなって購入した一冊。動物学上の狸、妖怪学上の狸、民話の狸、文芸と狸、狸の雑学と章立てられておりそれぞれの側面から見た狸の話がてんこもり。狸おもしろいぞ狸。

 

 

セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点/左右社/セシリア・ワトソン (著), 萩澤 大輝 (訳), 倉林 秀男 (訳)

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セミコロン誕生からこいつのせいで起きた事件やら論争やらを面白おかしく綴った本です。


内容も興味深いながら筆者のユーモアが絶妙で、スルスル読んじゃいました。


先日ゆる哲学ラジオでも扱われていてそれが面白かったのでぜひ見てほしいです。

youtu.be

 

 

以上です。

あくまで今年のお気に入りなので古い本だろうが容赦なくぶっこんでみました。

いつもは「私全然本読んでないな〜」と思ってたけど、今年の10冊を選ぶためにあれかなこれかなと悩む程度には読んだのでまぁ良しとします。

積んでる本はまだまだあるのですけど……

 

今年買った本の一部