てんてんと

へなちょこアラサー既婚女の世迷いごと

読書記録『推しことば類語辞典』と『舌を抜かれる女たち』

この前の記事を書き終えて「褒め言葉のバリエーション増やしたいな〜」と思ってたところにちょうど良い本と出会いました。


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『推しことば類語辞典』です。


ヲタの感情を表現する言葉も推しの素晴らしさを表現する言葉もパッと取り出して使うことができます。良き。

さてこの本の「はじめに」に夏目漱石が‘I love you.’を「月がきれいですね」と訳したエピソードが載っています。

磨かれた知性と感性によって「愛してる」を言わずに愛してることを伝えることは可能です。
しかし「可能」であるのはさておいて、じゃあ「必要」があるのか?ストレートに「好き」とか「可愛い」とか言ってしまうことに何のひっかかりがあるのか?という話になってきます。

対象(ここで言えば推し)に伝わるのは率直で素直な言葉だと思います。
ストレートに愛を叫ぶのも悪くない。でもそれはあくまで対象ただひとりに届けたい言葉になるのだと思うのです。

三者にも私の愛が伝わることがいわゆる「推し活」における表現には肝要なのではないかと感じます。

何故私はSNSやブログで推しのことを書かずにいられないのか?
その理由は「推しの素晴らしさを誰かに伝えたい」であり「自分の中にうずまく推しへの感情を言語化して整理したい」でもあります。
それらの精度を上げるためにやはり語彙を増やすっきゃないし、人の文章を読んで勉強していくっきゃないし、ハートを磨くっきゃないのです。

という訳なので色々勉強しなきゃですわ…

もうひとつ最近読んだ本が『舌を抜かれる女たち』
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古典学者である著者メアリー・ビアードさんが2014年、2017年にそれぞれ行った講演の内容をまとめてあとがきを加えた構成となっています。
古典作品から「これまでいかに女性が権力から締め出されてきたか」を暴き、権力についての構造について考えるといった内容です。

“つまり、権力をもっと別のものと考えるのです。おおやけの威光から切り離す。リーダーだけのものではなく、フォロワーたちが団結すればそこにもパワーは生まれると想定する。そして何より、パワーは所有物ではなく、そこに備わる属性であり、動詞(「パワーする」)」でさえあると考える。” (本文90〜91頁より引用)

古典的で伝統的な男性に力を集中的に持たせる「物語」を紐解き、新しい「物語」をつくる。
新しい「物語」に必要なのはヒーローやスーパーウーマンの登場ではない。必要なのは団結する人々。声をあげ続ける人々。これまでの「物語」がいかに間違っているのかの指摘と説得。
現状追認だけでは何も変えられない。何と言われても理想は掲げ続けていかなければならない。

ところでこの本についてのレビューを色々と見ていたところ「女性問題の重要性を感じた」って書かれてるのを見かけたのですが、これってどういう意味で「女性問題」という言葉を使ってるのでしょうか。
これ読んだ上で女性の言葉が軽視されかき消されていくことを「女性問題」という言葉で表現するのは違うと思うのです。何故ならそれをしてきたのは女性ではないという話をこの本でしてきたのですから。