てんてんと

へなちょこアラサー既婚女の世迷いごと

最悪のタイミングで映画『来る』を観てしまった話

恐怖映画を観るようになったのはここ最近になってからだった。
怪談話や都市伝説などのオカルト話や猟奇犯罪の話を聞いたり読んだりするのは元から好きだったのだが、今まで映画を観る習慣があまりなかった。
特に時間に余裕ができた訳ではないのだが、何かを吸収したい欲が高まった結果が映画なのかもしれない。

さて、そういう訳でおよそ数週間前に映画『来る』を観た。
とんでもない怪異と激つよ霊能者たちのバトルが拝見できるというのは何となく知っていたし、良い評判も聞いていた。
しかし何故私は自分がこんな状態の時に観たのかと思ったのだった。

これを観た時の私がどうだったかというと、普段なら規則的にくるはずの月経が止まっているうえに毎日吐き気頭痛めまい眠気に見舞われているような状態で、妊娠を疑っていた(断っておくが結局してなかった)。
仕事も行けずグズグズと引きこもりひたすら寝て、たまに起きて食事をつまむ。
自分があまりにも惨めったらしく思えて、喜ぶべき妊娠だったはずなのに既にノイローゼ気味だった。

そういう状態で『来る』を観てどうなったかというと田原香奈(黒木華)への感情移入と恐怖がすごいのだ。

外面は良いけど…な夫に振り回されながら、そして夫の死後の孤独な育児で精神的に追い詰められていく様は本当に見てられなかった。

いやもうこれずっと思ってことなんだけど中出しするだけで親を名乗れるんだったら私だってそうしたいわ女親は妊娠出産の段階だけでこんなに心身共にボロボロになるの不公平すぎん?そのうえ子供になんかあったらすぐ母親がしっかりしてないだのなんだのってうるせぇの湧いてくるの本当うぜぇよなマジで子供産むメリットなんか無いわなどと、自分の胎の中に子がいるかもしれないのに自分の子供を産むということへの不満と嫌悪がグルグルと駆け巡っていた。そしてそんなことを考えている自分自身を唾棄した。

怪異も恐ろしいのだが恐怖や不安によって人間が変わっていく描写も恐ろしかった。
私もこうなるのだとまざまざと見せつけられているようだった。

実際に産んだ者でなくても子供を愛して守ろうとする者がいるということには希望も感じたし、「産んだだけ」ではそれ以上の意味を持たないのではという虚しさも感じた。
幼い子供は大人の手で守られるべき存在だけど、相手が子供であっても誰かを幸せにするのは人間には難しいことなのだろう。

結局『来る』を観た後の私はしばらく子供が産まれたらどうしようかと考えては不安になり落ち込んでの堂々巡りをしていたのだった。